派遣業で注意すべきポイント(2024/9/27)
派遣業は、企業が短期間の人手不足を補うのに便利な仕組みですが、派遣元(派遣会社)と派遣先(企業)には守るべき法律やルールがいろいろあります。今回は、派遣業を利用する際に気をつけたい大事なポイントを、わかりやすくまとめてみました。まず、派遣業を行うには「労働者派遣法」という法律に従わないといけません。派遣元と派遣先、それぞれの役割や義務が決まっているので、しっかり守ることが重要です。たとえば、派遣先の企業が派遣社員に直接指示を出したり、労働条件を勝手に変えることはできません。派遣契約は、個別契約として結ぶことが求められています。これは、派遣元、派遣先、そして派遣社員との三者間で、業務ごとに契約をしっかり締結する必要があるということです。契約内容には、仕事内容や勤務時間、報酬、派遣期間などを正確に記載し、各当事者が自分の権利や義務をきちんと理解できるようにします。こうした個別契約をしっかりと結んでおくことで、後から発生するトラブルを防ぐことができます。同じ派遣労働者が同じ職場で働ける期間には制限があります。通常、派遣社員が同じ業務で働けるのは最長3年まで。それ以上働かせることはできないので、派遣先の企業はこれをしっかり把握して、適切に管理する必要があります。派遣元は、派遣労働者に対して適切な賃金や福利厚生を提供しなければなりません。特に、派遣先の正社員との待遇差には注意が必要です。2020年に導入された「同一労働同一賃金」ルールにより、派遣社員も正社員と同様の待遇を受けることが求められています。このルールを守るためには、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のどちらかの待遇決定方式を選ぶ必要があります。「労使協定方式」とは、派遣元で労働者と使用者の間で協定を結び、その協定に基づいて派遣労働者の待遇を決定する方式です。この方式を採用することで、派遣元は賃金テーブルや福利厚生、手当の基準をあらかじめ協定で定め、労働者の待遇を公平に設定します。この協定方式を選ぶと、派遣先の正社員との待遇差が発生しても、法的には問題がなくなります。ただし、労使協定の内容が適切であることが求められ、定期的に見直しや更新を行う必要があります。派遣労働を円滑に進めるためには、派遣元と派遣先がしっかり連携を取ることが大事です。派遣労働者のスキルや適性を確認し、業務に合った配置を行うことはもちろん、トラブルが発生したときには迅速に対応できるようにしておきましょう。派遣元は、派遣労働者が長期的なキャリアを形成できるようサポートする役割もあります。派遣社員がスキルアップできる研修や、キャリア相談を提供することで、将来を見据えた働き方を選べる環境づくりが大切です。派遣業における注意点は多岐にわたりますが、特に「労使協定方式」や「同一労働同一賃金」などの制度を理解し、正しく活用することが重要です。また、派遣契約は個別にしっかりと締結することで、派遣元・派遣先・派遣社員のすべてが安心して働ける環境を整えられます。法律を遵守し、派遣労働者の権利を守ることが成功の鍵です。
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